アメリカの不妊治療は年々件数が増え、2023 年には体外受精による出生が 9 万 5,000 人 を超えました。一方で通院や投薬の負担から途中離脱する患者は少なくありません。医療技術は進歩しているのに、患者の心理的・生活的な課題は置き去りになっている――この“ギャップ”を橋渡ししてきたのが、ファーティリティコーチです。
調査会社 KFF の 2024 年レポートによると、IVF 経験者の 18% が「何らかのコーチング・カウンセリングサービス」を利用しており、その満足度は 82% に達しました。医師でも看護師でもない、けれど同じ船に乗る伴走者。彼らは具体的に何をしてくれるのでしょうか。
ファーティリティコーチの仕事をひと言で表すなら、医療と生活をつなぐ翻訳者。私はニューヨークの大手クリニックで働くケイトさん(看護師資格を持つコーチ)に話を聞きました。
東京とニューヨークを行き来する N さん夫婦は、複雑な投薬計画を前に度々ミスを起こし、自己注射の失敗から夫婦げんかへ発展することもありました。ファーティリティコーチと出会って最初にしたのは、“全部書き出す” こと。
結果、注射ミスは 0 件になり、通院遅刻もなくなりました。N さんは振り返ります。
「治療の成功だけでなく、夫婦としての空気が変わったんです。
“第三者の味方” が入ることで、私たちが互いを責める時間が減りました。」
背景には三つの追い風があります。
1. 福利厚生の拡充
米国企業の 4 割以上が生殖医療を福利厚生に組み込み、コーチ費用をまかなうプランも増えました。費用ハードルが下がったことで利用者が一気に拡大しました。
2. テレヘルス規制の緩和
コロナ禍を機にオンライン相談が一般化。州をまたいでコーチングを受けることも容易になり、地方在住者の需要を掘り起こしました。
3. “Treatment Gap” への問題意識
技術進歩が進むほど「説明が追いつかない」現場の課題が可視化され、医師側がコーチと連携するメリットを認めはじめています。
日本でも個人開業やオンラインサービスが芽を出し始めていますが、本格普及には二つの課題があります。
Q. 医師や看護師のカウンセリングとどう違う?
A. 院内スタッフは自院の治療を前提にアドバイスしますが、コーチは患者視点で複数クリニックや治療法を比較し、生活全体を設計します。
Q. 費用はどのくらい?
A. アメリカでは 1 セッション 80〜150 ドル、日本では 8,000〜15,000 円が目安。多くの患者が「治療中断リスクを減らす投資」として利用しています。
「5 本柱のサポートを、どんなツールと手法で実践しているのか?」
具体的なケースと、AI チャットボットを併用した最新の支援モデルを紹介します。
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医療技術が進歩するほど、人が “人” として寄り添う役割が余計に求められるのかもしれません。ファーティリティコーチは、その象徴的な存在です。あなたの治療の隣にも、この新しい専門家が立つ未来を想像してみてください。